〔授業の目的・ねらい〕〔授業概要〕〔教科書〕なし。原則として毎回配布するプリント教材にてそれに代える。〔参考書〕1.アダム・スミス~『道徳感情論』と『国富論』~,堂目卓生,中公新書,20082.アダム・スミス 著『道徳感情論』 村井章子&北川和子 訳、日本評論社,3.『これからの正義について考えてみよう』 M.サンデル,早川書房4.モード・バーロー著、佐久間智子訳,『ウォーター・ビジネス』,作品社5.災害に向きあう,直江・越智(編)-高校倫理からの哲学,岩波書店6.CODE-インターネットの合法・違法・プライバシー,L.レッシグ,翔泳社〔その他〕〔成績評価の方法〕最終週に行う教場試験(ペーパーテスト)における評価を基本とする。ほかに、テーマの節目ごと に課すレポートや、授業への積極的参加姿勢(発言などによる)を加点材料とすることがある。担当講師森川 孝学年・学期1年生 後期1 他者を自己利益を推進するための手段としてみる風潮が世を覆いがちな今、「どんな利己的な人間にも備わる(A.スミス)」とされる他者の運命に対する関心=共感の存在は、他者を自己自身と同等な尊厳ある存在とみる大切さに気付かせてくれる。こうした見方は正義を対等な他者との関係の中で成立する徳性(アリストテレス)とみる古代以来の正義観にも読み取ることができる。翻って、今日グローバル化しつつある世界が直面する環境、情報網は、改めて利便さや利益の追求の背後に隠れがちな人間の本性の有り様を鋭く問いかけている。本講義では、こうしたテーマと向き合いつつ、社会的・政治的存在としての人間とは何かを究明する。 Ⅰ.共感と社会倫理(第1回~第4回) ⅰ.共感は人間の根源的欲求に根ざすもの;承認の欲望 ⅱ.共感を成立させるものは何か?;公平な観察者と適宜性 ⅲ.良心と社会道徳;想像的共感と慣行的共感 ⅳ.賢者の心と弱い心~経済的繁栄の論理と社会秩序~ Ⅱ.正義と社会倫理(第5回~第7回) ⅰ.アリストテレスからロールズへ 配分的正義の復権:無知のヴェールと正義の諸原理 ⅱ.サンデルが説く公共善を目指す正義:自由主義的正義観の限界と公共性の復権 ⅲ.センが説くグローバル化する世界の主義:選択の自由度の公正と包括的結果主義 Ⅲ.環境と社会(第8回~第11回) ⅰ.環境倫理思想の転回~人間中心主義批判から人間主義へ ⅱ.世界をめぐる水危機 水は権利か商品か ⅲ.災害に備える倫理(1)防災訓練の目的は?命の保全か、命と財産の保全か ⅳ.災害に備える倫理(2)災害時に問われる他者への義務は? Ⅳ.情報化社会と倫理(第12回~第14回) ⅰ.ネット空間の光と闇 匿名性の功罪 ⅱ.ネット社会の規制と人間の自由 ⅲ.知的所有者と人間社会の変容 Ⅴ.全体のまとめ(第15回) 試験(第16回)科 目 名社会倫理学学 科 名理学・作業必 修 科 目区分・授業方法基礎 ・ 講義単 位 数7
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