作業療法士になろうと思ったきっかけ

福田 重岡さんが作業療法士になろうと思ったきっかけは?
重岡 祖母が入院した時お見舞いに行って、そこで最初に見たのは理学療法士でした。ちょうど自分の中で「今の仕事を続けられるかな。」っていうことを悩んでいるときにその機会があって、リハビリの仕事を見て「あ、こういう仕事があるんだな。」っていうことを知ったのが、リハビリに関わる仕事を最初に目指そうとしたきっかけです。
福田 それから、作業療法士に辿りつくまでのプロセスがあったの?
重岡 母が看護師をしていたので、リハビリに関わる仕事に興味があることを相談したら、「理学療法士は歩行とか下肢とかのことが多いから結構力が必要だよ。」と言われて、「作業療法士だったら手先とか日常生活動作のリハビリをするよ。」と教えてもらって、自分には作業療法士の方が向いているなと思って、作業療法士のことを調べ出しました。
福田 横井君はどうだった?
横井 元々高校を卒業する時に十全に行こうかなと思っていたんですけど、その時は大学に行きました。
前の仕事の時に、発達障害の子どもと接することがあって、そう言えばあの時作業療法士になりたかったなと思い出しました。
福田 高校のときに十全に行こうかなと思って結局来なかったのは、大学を選んだから?
横井 そうですね。大学生を経験したかったというのもあります。高校生の時、十全のオープンキャンパスにも行っていいなと思っていたんですけど…
福田 実際に大学を出て働きだして、発達障害の子どもさんと関わる機会があったのもきっかけだったと思うけど、その前から作業療法士になりたいっていう想いはあったの?
横井 元々少しはありました。大学を出てから十全に通うということも考えたけど、金銭面のこともあって、就職することを選びました。
福田 何年くらい働いていたの?
横井 4年くらいは社会人をしていました。
福田 じゃあ、多少その間に貯えはできた?
横井 少しはできました。そういったところも大きいですね。
福田 鍋屋さんは大学を卒業してそのまま十全に入ったけど、就職を考えたこともあった?
鍋屋 就職は考えていなかったです。心理学系の大学だったので、最初は臨床心理士を目指していたんですけど、その課程の実習先で発達障害の子どもと関わって、心理系だと発達障害の子どもに自分は何もできていないなと感じました。「もっと具体的に接したい。」「何かしてあげられたらいいな。」と思ったときに、臨床心理士は自分には向いていないなと思いました。
福田 似たような医療系の仕事というのもあって、作業療法士は元々知ってたの?
鍋屋 知らなかったです。
臨床心理士を目指すのをやめてこの先どうしようってなったときに、まずは何か資格が欲しかったんです。結婚してもずっと働いていけるような資格が欲しくて…
父が義肢装具士をしていて、父は以前から十全を推してくれていたんですけど、自分は大学に行ってしまって(笑)
改めて父に相談したときにもう一度「十全はどう?」と言われて、理学療法士と作業療法士なら自分は作業療法士の方が向いているんじゃないかと父のアドバイスもあって…。
父に相談してアドバイスをもらってから自分でも調べたりして、知り合いの理学療法士の人もいたのでその人にも話を聞いて、作業療法士に決めました。
福田 上岡君は介護福祉士をしてたから、実際に作業療法士と関わって仕事をしていたので、この仕事のことはある程度は知っていたんでしょ?
上岡 そうですね。介護の仕事柄、ずっとリハビリ職の方が近くにいて、患者さんが最初できなかったことがリハビリを受けることによりだんだんできていく姿を見て、凄いなと思っていました。その後も、ずっと悩んでいて、2、3年経ってしまって…。
福田 仕事をしていく中で、介護福祉士とは違った視点で見る作業療法士という仕事に憧れとかはあったの?
上岡 そうですね。
福田 受川先生の作業療法士を目指したきっかけは?
受川 知的障害者の通所更生施設で支援員として働いていて、利用者一人ひとりのニーズに合わせた支援をすることにすごくやりがいを感じていました。それで、僕の中で「ずっとこういう仕事を続けていきたい!」っていうのが見えました。その為にも、一度ちゃんと勉強したいと思ったのと、勉強するなら資格を取りたいというのもあって、医療・福祉系の資格を探し始めたのがきっかけです。いろいろな資格の中で、今までの仕事を活かすことができると感じたのが作業療法士でした。
福田 やっぱり仕事の中で先が見えるっていうのは大事だよね。

十全を受験してみようと思ったきっかけ

福田 たくさんの養成校がある中で、十全を受験しようと思ったきっかけは?
重岡 作業療法士になりたいなと思い始めて、学校に通うなら親の支援は必要だろうなという考えがあって、県内の学校を探しました。何校が学校がある中で、十全のホームページや資料を取り寄せてみたら、「社会人が3割くらい居ますよ。」「社会人でも大丈夫ですよ。」などの情報を見て、ここだったら今からでも行って学べるかなって思いました。
他の学校は4年制だったんですけど早く資格を取って就職したいという考えもあったので、3年制の十全がいいなと思いました。親にも相談したら、「3年間ちゃんと支えてあげるから行っておいで。」という承諾が得られたことが一番大きく、十全で頑張ろうというきっかけになりました。
福田 サポートは大きいよね。十全のホームページとかも凄く役に立ったんだ?
重岡 凄く見ました。
福田 「私一人だったらどうしよう。」とか?
重岡 はい(笑)
福田 で、そうじゃないと分かって。そういう情報ってやっぱり大事だね。鍋屋さんはどうだった?大学卒業っていうタイミングもあったの?
鍋屋 そうですね。行くならこのタイミングだなって思ったのと、父が十全を推してくれていたことと、3年制っていうことがきっかけですね。
福田 お父さんが「十全いいよ。」って言ってくれた理由みたいなのはあったの?
鍋屋 仕事でいろんな病院を回っているので、理学療法士・作業療法士と接する機会があるみたいです。
そういう中でも十全の卒業生はいいって言ってくれていました。
福田 やっぱり家族の支えとか、意見は凄く大事だね。
鍋屋 大事ですね(笑)
福田 やっぱり自分で判断ができないこともあるよね。
鍋屋 お金の問題とかもどうしようもないので。
福田 横井君はどうだった?
横井

僕も親の意見が大きいところはありました。県外で働いていて帰ってくることになって、働き先もまた探さないといけない時に、「それだったら学校に行ってみたら?」って言ってくれました。その後押しもあって、僕も「行きたいな。」って思いました。

福田 上岡君はどうだった?上岡君は、2、3年悩んでたんだよね。
上岡 そうですね。僕も親に相談してたんですけど、お金の面でなかなか首を縦に振ってくれませんでした。それでも行きたいなって思ったので職場の人たちにも相談したら、「上岡君だったら向いてると思うよ」って言ってくれました。
でも、考え出して2、3年経ったし、そろそろ実際に動いてみようかなって思って、それでいつもより強めに親に相談したんです。
一同 (笑)
上岡 そしたら、「サポートしてあげる」って言ってくれたんで、それがきっかけです。
福田 やっぱりサポートって大きいよね。受川先生もサポートしてもらってた?
受川 もちろんありました。自分だけでは学費を賄うことが難しかったのですが、そこは上岡君と同じで「これは本気だ。」ということが伝わったんだと思います。特にこれから一生働いていくことや、家族を養うことを考えると、そういうところは親も理解してくれたんだと思います。

勉強面の不安

福田 横井君は勉強面の不安はあった?
横井

不安はあったんですけど社会人の方とか現役生とか、周りの人が一生懸命取り組んでいるのを見て、自分にも刺激になっているなと感じますね。自分一人だとだらけてしまうので、周りの環境は大きいと思います。

福田 やっぱり同じ社会人入試で入った人が頑張ってたら、「僕も頑張ろう。」って思ったりする?
横井 そうですね。
福田 重岡さんも、勉強面に不安はあった?
重岡 勉強自体は2年くらい何もやってない状態で入学したので、「入ってからどうしよう。」と思っていました。でも、解剖学とか生理学などの医学系の勉強をしてみると、内容が楽しく思えたので興味を持って勉強ができました。今の勉強が将来の仕事に使えるということが分かるので、今はやらないといけないなっていう気持ちが強いです。
福田 鍋屋さんは大学で心理系の勉強して入ってきたけど、勉強の不安っていうのはそれでもあった?
鍋屋 ありました、ありました。ずっと勉強したことがなくて、今まで…
十全に入学して、最初は成績が悪くて「あぁ、やばいな。」と思っていたけど、勉強の仕方も分からないので周りの人に相談しながら勉強しました。そこから段々成績も上がってきて、自分でもそれが実感でき始めたのでどんどんやる気が出てきました。
福田 自分でやれるようになってきたっていうのは、何かきっかけがあったの?
鍋屋 勉強のやり方を変えました。やり方が変わって成績が上がってきたら気持ちも変わってきて、もうちょっとやれるんじゃないかなって…
福田 そのあたりは現役がいいとか悪いとかじゃなくて、現役で入ってきた18歳の学生さんと大学で4年間経験してきたっていう違いがあったの?
鍋屋 18歳でそのまま入ってきたら、「勉強が難しいな。」って思うところがあったかもしれないですね。大学4年間があったので、授業を聞いてて分かるところもあります。
福田 そういうところは受川先生も感じる?
受川 そうですね。社会人としてのブランクが長いので結構大変なところもあったんですけど、社会経験をしている分、勉強する理由とか「今勉強していることが直接自分の仕事に必要なんだ。」ということが、現役生と比べると実感しやすいし、モチベーションを高く持ちやすいと思います。

年齢のギャップの不安

福田

年齢のギャップっていうところは、実際に入学してみないと自分がクラスのどのくらいのところにいるか分からないこともあって、不安だった?

鍋屋 すごく不安でしたね。
福田

入ってみたら実際どうだった?

鍋屋 意外と年上の人がいて、「あれ?私、年齢下の方」みたいな(笑)
福田 それで安心した。
鍋屋

安心しましたね。

福田

重岡さんはどうだった?

重岡 そうですね。一応ホームページとかで3割くらいは社会人の人が居ることは知っていたんですけど、入学するまでは不安でした。でも、実際に入学してみると、クラスにも社会人の人がたくさんいて安心しました。
福田 横井君はどうだった?
横井 社会人で入る不安はあったんですけど入ってみたら案外年上の人も多かったし、現役生ともコミュニケーションを取れるほうだと思っていたので、そこは心配してなかったです。
福田

上岡君はこの中で一番年上で、そこは悩みだった?

上岡 僕もすっごく不安でした。実際来てみたら30歳代の人も他にも4人いて、すごく安心しました。
で、実際に学校に通うようになってあんまり周りに年齢のこと言ってなかったんですけど、現役の子が同い年だと思ってたらしくて…(笑)
一同 (笑)
上岡 それでちょっと安心しました(笑)
福田

クラスの雰囲気として社会人の人がいると、やっぱり違う?

重岡 やっぱり落ち着いてるっていう面はあるのかなと思いますね。
あと、なんかあったときに、ちゃんと止めてくれる人がいたりとか「こうしないといけないよ。」って教えてくれる人がいたりっていう面は大きいと思います。現役生だけよりは、社会のことを教えてもらえたりする面で落ち着きがあるのかなと思います。
福田 やっぱり実習に出たとき、社会での経験があるのは有利だよね。横井君はそのあたり、どう思う?
横井 そうですね。挨拶やコミュニケーションなど、社会人経験者は自分の立場を把握して行動できるので有利だと思います。
福田 挨拶もそうだし、自分が学生としてどういう立場にいるか分かるっていうのは大きいね。
横井 そうですね。
福田

上岡君も、そこはメリットになると思う?

上岡 経験がある分、現役の子よりはメリットがあると思います。

就職についての不安

福田 鍋屋さんは、就職について心配な面はある?
鍋屋 現役の学生さんと比べると、年齢は気にはなります。大学で取った資格とかもあるんで、それを使っていけるかなって思ってはいるんですが採用する側はどう思うかなって、やっぱりちょっと不利なのかなって思います。
福田 そういうところは受川先生に聞いてみたいよね?
受川 僕は十全で凄くお世話になったと思うのが就職活動のことです。僕は卒業したのが30歳のときだったので、単純に考えて年齢が上な分選択肢が狭まるっていうイメージがありました。「自分が働ける場ってどれだけあるのかな。」とか、自分では見えないところもあって、何を基準に就職先を選んだらいいのかが分かりませんでした。でも、先生方が病院の特徴や社会人経験者の先輩の話など、いろいろな情報を含めてアドバイスをくれました。自分が知りたい部分を教えて頂いて、「こういうところを考慮して就職活動をしていけばいいんだ。」という道筋を作って頂けたので、満足な就職活動ができました。
福田 シングルマザーの方とかも過去に何名かおられたので、そういう方でもちゃんとキャリアを持って働けているので、「すごく良かった」と言ってくれてます。そういった意味では、全然心配することはないと思うよ。上岡君は?
上岡 30歳を超えての就職になるので、雇ってくれる方は若い子を雇って長年働いてもらう方がいいんじゃないかとか思うんです。でも、作業療法士プラス介護福祉士の資格もあるので、現役で持ってる子は少ないんじゃないかなっていう強みもあります。
福田

それはあると思うよ。年齢は心配だと思うけど、逆に一念発起して新たな仕事を目指したっていうバイタリティーは買われると思うよ。自分で「こんなことしたい!」って上を目指して頑張ってやってきましたっていうのを、アピールするべきだと思う。「それだけバイタリティー持ってる人だったら頑張ってもらえるだろう。」って職場は判断するだろうと思うし、そこは絶対活かすべきだと思う。

社会人入試制度を利用してみて良かったところ

福田 社会人入試制度を利用してよかったところはある?
鍋屋

英語や数学などの受験勉強をしてなくても、ちゃんと十全で学べるって言うのは大きかったと思います。学力試験があったら、受験するかも悩んでいたと思います。

福田 学力試験は大事なんだけど、そういうところで計れないところもあると思う。そういうところは重岡さんはどうだった?
重岡

面接と小論文なので、社会人を経験したからこそ言える内容とか、出せる雰囲気とか、態度などがあると思います。医療人を目指すにあたっての態度・挨拶とかを面接によって見るっていうところが大きいから、社会人枠っていうのが設けられているんじゃないかなって思っていました。

福田 横井君は実際社会人入試制度を使ってみてどうだった?
横井 小論文でしっかり自分の意思を伝えて、面接でもしっかり自分の考えを表現できたので、面接と小論文だけで評価してくれる社会人入試制度はありがたいなって思いました。
福田 自分のアピールがそういうところでできたっていうのが大きかったんだね。上岡君はどうだった?

上岡 小論文と面接ということで学力試験がなかったので、非常にありがたかったです。英語や数学は長年やってなかったので、学力試験があったら試験自体受けるのもどうかな?って思ってたかも知れないので…
福田 でも、試験がなくっても入学してしっかり頑張っているということは、受験しやすい制度があったことが自分たちにとって良かったんだね。
上岡 そうですね。
福田 そういうところのメリットは、受川先生も大きいと思う?
受川 大きいと思いますね。受験勉強をしないといけないとなると、何からしたらいいのかが見えにくくて、働きながらだったのでなかなか一歩踏み出しにくいところはありました。自分が自信をもって言えることって、「この仕事に就きたい!」っていう思いでした。それをアピールできるっていうのは、自信を持って受験出来たところになりますね。「この想いを伝えればきっと大丈夫だ。」っていうところは踏み出しやすかったと思います。

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